捻挫の基礎知識と正しい処置法|知っておきたい応急処置のポイント

スポーツをしている時、階段を下りている時、ちょっとした段差で足をくじいてしまった経験はありませんか?日常生活で最も起こりやすい怪我の一つが「捻挫」です。今回は捻挫の基礎知識から正しい処置法まで、詳しく解説していきます。

捻挫とは?

捻挫とは、関節を正常な可動域を超えて動かしてしまい、関節を支える靭帯が伸びたり部分的に切れたりする怪我のことです。特に足首の捻挫は全体の約80%を占め、誰にでも起こりうる身近な怪我と言えます。

捻挫が起こる主な原因

・スポーツ中の急な方向転換

・不安定な足場での歩行

・階段の踏み外し

・ハイヒールでの歩行

・筋力不足や柔軟性の低下

捻挫の症状と重症度

主な症状

・痛み:動かした時や体重をかけた時に強くなる

・腫れ:受傷後数時間で現れる

・内出血:青あざや紫色の変色

・関節の不安定感:グラつく感じがする

・可動域制限:動かしにくくなる

重症度による分類

軽度(1度)

・靭帯の軽微な損傷

・軽い痛みと腫れ

・歩行可能

中度(2度)

・靭帯の部分断裂

・中程度の痛みと腫れ

・歩行困難

重度(3度)

・靭帯の完全断裂

・激しい痛みと腫れ

・歩行不可能

応急処置:RICE法が基本

捻挫の応急処置には「RICE法」が効果的です。受傷後48時間以内に適切に行うことで、症状の悪化を防ぎ、回復を早めることができます。

R – Rest(安静)

・患部を動かさない

・無理に歩いたり使ったりしない

・必要に応じて松葉杖やサポーターを使用

I – Ice(冷却)

・氷嚢やアイスパックで患部を冷やす

・15-20分間冷却し、2-3時間おきに繰り返す

・直接肌に当てず、タオルなどを間に挟む

・冷やしすぎによる凍傷に注意

C – Compression(圧迫)

・弾性包帯やテーピングで適度に圧迫

・血流を妨げない程度の強さで巻く

・指先が青くなったり、しびれが出たら緩める

E – Elevation(挙上)

・患部を心臓より高い位置に上げる

・横になって足を枕などで高くする

・重力を利用して腫れを軽減

回復期の処置とリハビリ

48時間後からの処置

急性期を過ぎたら、以下の点に注意して回復を促進します。

温熱療法

・温かいタオルや入浴で患部を温める

・血行を促進し、治癒を早める

軽い運動

・痛みのない範囲で関節を動かす

・足首の場合は、座った状態で上下左右に動かす

段階的な負荷

・徐々に体重をかけて歩行を開始

・痛みが強い場合は無理をしない

簡単にできるリハビリ運動

足首の場合

  1. 座った状態でつま先を上下に動かす
  2. 足首を左右に回す
  3. タオルを足の指で掴む運動
  4. 片足立ちでバランスを取る

手首の場合

  1. 手首を上下に曲げ伸ばし
  2. 手首を左右に動かす
  3. 握力を使った運動

医療機関を受診すべき症状

以下の症状がある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

・激しい痛みが続く

・全く体重をかけられない

・関節が明らかに変形している

・しびれや感覚異常がある

・48時間経っても改善しない

・発熱がある

捻挫の予防法

日常生活での注意点

・適切な靴選び(ヒールの高さや足に合うサイズ)

・段差や不安定な場所での注意深い歩行

・疲労時や暗い場所での移動に注意

運動前の準備

・十分なウォーミングアップ

・ストレッチによる柔軟性の向上

・筋力トレーニングによる関節の安定性向上

・適切な運動用具の使用

体作りのポイント

筋力強化

・下腿三頭筋(ふくらはぎ)の強化

・足首周りの小さな筋肉の強化

柔軟性向上

・アキレス腱のストレッチ

・足首の可動域を広げる運動

バランス感覚の向上

・片足立ち練習

・バランスボールを使った運動

まとめ

捻挫は身近な怪我ですが、適切な処置を行わないと慢性化したり、再発しやすくなったりします。RICE法による応急処置を覚えておき、症状が重い場合は迷わず医療機関を受診することが大切です。

また、日頃から筋力トレーニングやストレッチを行い、捻挫しにくい体作りを心がけることで、予防にもつながります。軽い捻挫でも軽視せず、しっかりと治療とリハビリを行って、完全な回復を目指しましょう。

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